プロ野球の世界では、突然ボールが投げられなくなったり、打てなくなったりするという不思議な症状に悩まされる選手がいます。
それは「イップス」という症状です。
イップスはマイナーな選手だけではなく名前を聞いたら「え?あの選手が?」と思う有名な選手も発症したと言われています。
今回イップスを発症したと言われるプロ野球選手を紹介すると共に、似ている言葉でスランプというのがあります。
今回イップスととスランプの違いやその克服方法を調査したいと思います!
イップスってどんな症状の事?
イップスとは、精神的なストレスやトラウマが原因で身体が思い通りに動かなくなる症状です。
特にプロ野球の世界では「突然ボールが投げられなくなった!」「送球がうまくできない!」「バットが振れない!」という事を耳にします。
今までうまくできていたことが急にできなくなる。そんな状態がイップスと呼ばれている症状です。
スポーツの世界ではイップスという名称が広く知られるようになってきましたが、医学的にはジストニアという症状に分類されています。
引用:BRAIN CLINIC
スポーツ界全般でイップスという症状を発症したと言われるアスリートはたくさんいます。
今回プロ野球選手に絞り、イップスについて調査したいと思います。
イップスを発症したと言われるプロ野球選手7選!
実はプロ野球選手の中にはイップスに悩まされた選手が多数います。
その中でもイップスを発症したと言われる選手を7人紹介したいと思います。
現役選手だけでなく、引退した選手も含めてどんな症状に悩まされたのでしょうか?
①イチロー(元オリックス・MLBマリナーズ・ヤンキース)

イチローさんは、高校時代にイップスを経験したとされる有名なエピソードがあります。
愛知工業大学名電高校時代、当時ピッチャーとして活躍していました。
マウンドでストライクが入らない、思い通りに腕が振れないなどといった症状があったそうです。
「悪い癖がついて、イップスになってしまったんです」とにかくイップスを直そうと「そこだけ」を意識しての投球。なるべく大きく投げることだけを考えていたのだという。
引用:full-count
この事からイチローさんはピッチャーから外野手へと転向するきっかけとなりました。
しかし結果的にこのコンバートがなければ安打製造機の異名や世界記録が生まれる事はなかったでしょうね。
②藤川球児(元阪神・MLBカブス・レンジャーズ)

藤川球児さん(元阪神)は、制球難だったり乱調になった事があります。
この時には藤川久二さん本人が「イップス」を経験したという明確な発言があったという、そういった報道は確認できませんでした。
それから他の選手が制球難になったとき、藤川球児さんもイップスを疑われました。
しかしイップスになったことが調子を落とした言い訳になるのが嫌だったそうです。
自分のピッチングの出来を病気のせいにせず、何とか自分の力で克服しようとした姿が焼き付いていますね。
③藤波晋太郎(元阪神・MLBアスレチックス・現DeNA)

イップスという言葉が認知されてきたのはこの藤波晋太郎選手からではないでしょうか?
投球が大きく抜けて、右バッターへの危険な死球が過度に目立ちました。
そして登板している間ずっとコントロールが定まらず、試合を崩してしまうパターンが何度か繰り返されました。
それにマウンドでの精神的な不安定さがTV越しでも見える場面があります。それからデッドボールの多さも指摘される事が多いです。
その不安定な投球がイップスなのでは?と疑われる原因にもなってます。
藤浪晋太郎投手の制球難が深刻化する中で、「イップス」の可能性が指摘されることもありました。
引用:速報BASEBALL
世間的にはイップスという名前が付いて、この藤波晋太郎選手もそうだと思いましたが、本人がイップスではないと言い切りました。
元有名プロ野球選手たちも藤波晋太郎選手の制球難は技術的な問題だと指摘する人もいたので、イップスなのかどうかは分からない所ですね。
④澤村拓一(元巨人・MLBレッドソックス・現ロッテ)

2017年、一軍キャンプで右肩を痛め、オープン戦初登板で投げた球が相手バッターの頭部に当たり、危険球退場になりました。
その後も投球内容が大きく乱れ、「イップス」の可能性が指摘されました。
澤村投手は、ファンやマスコミからのバッシングで相当なストレスを抱えた上で、今季のオープン戦初登板で、145キロの直球を日本ハム・清水優心選手(20)の後頭部にぶつけた。これがきっかけでイップスを発症したのではないか、と分析している。
引用:JCASTニュース
しかしその後報道によると、この冒頭は球団トレーナーによる鍼の施術ミスが原因だと言われました。
神経麻痺の症状が出た可能性が高く、球団側が澤村投手に謝罪しています。
そのため、イップスではなく、身体的な神経障害が原因だったというほうが、現在では正しい見解とされています。
⑤糸井嘉男(元オリックス・阪神)

もともとピッチャーだった糸井嘉男さん。
イップスにより四球を連発し、06年に外野手に転向したのがその理由とされていました。
150キロを超える剛速球を武器に04年に日本ハムに入団するも、イップスが原因で四球を連発し、06年に外野手に転向した。
引用:JCASTニュース
糸井選手本人が語ったエピソードもあります。
「1・2、1・2…て数えながらセットポジションでやってたら『どこから動いたらええんや…』ってパニックになって」とイップスのような形になってしまったと振り返る。
引用:日刊スポーツ
本人の口からイップスだったかもと言われる事は少ないですけど、野手転向のきっかけにはイチローさん同様あるものですね。
⑥リック・アンキール(元カージナルス)

MLBで活躍した左腕投手です。
2000年のポストシーズンで突如コントロールを乱し、1試合でワイルドピッチ5つを記録しました。
その後も制球難が続き、精神的な問題、典型的な「イップス」を発症したと言われました。
それ以降投手としての再起を断念し、外野手として再出発することにしました。
そんな中2007年にメジャー復帰し、打者としても成功を収めました。投手から野手への転向に成功した稀な例ではないでしょうか?
⑦チャック・ノブロック(元ツインズ)

二塁手にもかかわらず、一塁への送球が極端に乱れるという“イップス”を発症しました。
送球が大きく逸れることが多発し、観客席やベンチにボールを投げてしまう場面もありましたね。
そして守備に大きな支障が出たため、最終的には外野手にコンバートされました。
守備の名手として評価されていたチャック・ノブロック選手が突然イップスに陥った時は心配の声が多数上がりました。
チャック・ノブロックイップスという精神的障害が広く知られるきっかけとなった事例の一つでした。
スランプとの違いは何?
イップスとスランプは似ているようで、原因や症状に違いがあります。
イップスの症状

普段できていた特定の動作や技術が、突然コントロールできなったり、思うように体を動かせなくなる症状です。
具体的には「手や腕が動かなくなる」「体が固まる」「震え」「けいれん」
「特定の場面で体が言うことをきかない」「プレー時も筋肉が無意識に緊張」「一部の動作ができなくなってしまう」などがあります。
スランプの症状

これまで通り動作自体はできますが、結果やパフォーマンスが出ない、一時的な不振状態のことを言います。
具体的には「成績が落ちる」「思ったようにプレーできない」「実力が発揮できず不調」
「全体的に自信喪失・集中力低下」「成果が出ない」といった精神的な事からくる全体的な低迷を言います。
「できていたことができなくなる」という点で一緒にされやすいですね。
でもイップスは神経・筋肉の制御障害、スランプは全体的なパフォーマンス低下や心理的な要因が中心という点で大きな違いがあると言われてます。
イップスの克服方法は?

イップスの克服には時間と根気が必要ですが、正しい方法を取れば克服は可能と言われてるようです。
きっかけとなった体験(ミスや失敗、過度なプレッシャーなど)を思い出して、どこで自分はなったのか明らかにする必要があります。
またメンタルトレーニングをすることで、不安や緊張をコントロールする方法を身に付けるのも効果的と言われています。

「自分ならできる」「うまくいく」と繰り返し自分に話しかけることで自己信頼を高めることができるでしょう。
まとめ
野球におけるイップスという言葉。調子のよかった選手がいきなり結果が出なくなる症状だと言われています。
今回は外国人を含む7名のプロ野球選手のイップスにまつわる内容を書いてみました。
イップスになって克服する人・しない人と別れるでしょう。
克服するのは大変難しい事なのでそこから這い上がれる人がどれだけ凄いことなのか分かりましたね。